理事長挨拶

理事長:多田 敦彦 府中市の医療を守ろうという多くの方々の熱意と年余にわたる努力の末に、このたび、民間病院と自治体病院が経営統合し、ひとつの地方独立行政法人、府中市病院機構が運営するふたつの病院、府中市民病院と府中北市民病院に生まれ変わり、岡山大学と広島大学というふたつの大学が支援するという全国でも画期的な新しい医療経営の枠組みが誕生することとなりました。これからは医療の内容をより充実させ、適切に運営して、高齢化社会に対応した地域の皆様の生活を「支える医療」の実現を目指します。

1.病院スタッフの夢の実現と健全で安定した経営
病院に勤務するスタッフは、患者さんに、質の高い医療を提供したい、患者さんに笑顔になってもらいたい、あるいは、快適な環境を提供したいという思いや夢を持っています。ひとつひとつの夢が1つでも多く現実のものになるように病院全体が「One for all,all for one」でサポートしていきます。 病院には多くの職種のスタッフがいてそれぞれ専門的な知識と技術を持っていますが、多職種のスタッフが思いや夢を実現するという目標に向かってチームとしての連携がいろいろな医療面で進んでいくことが期待されます。しかし、提供したい医療を末永く継続するためには、安定した経営は欠かすことはできません。夢の実現のためにも健全で安定した経営を構築します。
2.「支える医療」その1 高齢化に対応した医療(中期目標)
〜高齢者に多い慢性期の患者に寄り添い支える。〜 私たちが提供する医療は、3つの側面からなる「支える医療」だと考えています。第1は、急性期を脱して慢性期に入った方や、治すことが難しい慢性の病気を抱えた方を支える医療です。病気の進行を遅らせ、残された機能を引き出し、合併症を予防しながら、病気を持っていることを前提としてそのひとらしく生きることができるように支える、言い換えると、病気とうまく付き合っていけるように患者さんに寄り添い支える医療です。また、いろいろな疾患で終末期を迎える方のターミナルケアも支える医療として重視したいと思います。
3.「支える医療」その2 救急医療への対応・災害医療への協力(中期目標)
〜救急医療を含めたプライマリ・ケア(総合的な立場からの診断と治療)〜 2点目は、地域の皆様の社会生活を支える医療です。救急医療を含めたプライマリ・ケアは、熱が出る、胸が痛い、意識がないなど、どの分野の疾患かもわからない状態で来院される患者さんを適切に診断し、必要なら専門病院、可能なら当院で治療するという医療です。さらに,急性期の疾患で頻度が多く、高度先端的な医療をそれほど必要としない病気に立ち向かって治すことも「支える医療」の1つの要素です。また、災害医療も支える医療の1つの側面です。このようなプライマリ・ケアをきちんと行う医療機関が地域になければその地域の社会生活は成り立たなくなります。
4.「支える医療」その3 予防医療(中期目標)
〜予防・早期発見・健康増進〜 3点目は、健康な方や一見健康そうに見える方の、隠れた病気を早期に発見し、病気を予防し、健康を維持・増進していく医療です。
5.チーム医療と地域連携・役割分担
支える医療を行うには、院内ではチーム医療が重要ですが、院外では地域連携が重要です。府中・福山の広い地域で、病院、診療所、福祉・介護、行政などと幅広くより一層の連携を強化すること、また、戦略的な考えを持って役割分担を行うことが、それぞれのレベルアップと、より価値の高い支える医療の提供につながります。
6.最後に
スタッフの思いや夢を実現すること。健全で安定した経営を構築すること。チーム医療と地域連携により支える医療を確立すること。これらのことを地道に積み重ねていくことで、以下の達成を目指します。
  • 1)病院のスタッフがいきいきとやりがいを持って働ける職場を作る。
  • 2)患者さんにとって価値のある医療を継続して提供する。
  • 3)高齢化社会に対応し、地域に貢献する。
府中市民病院、府中北市民病院はこれまでと同様にまたこれまで以上に地域の皆様にとって親近感、信頼感、そして安心感のある病院でありたいと思います。今後ともよろしくお願いします。

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